治療
いろいろな治療法

血流を改善するPDE5阻害薬とは?

PDE5阻害薬は、前立腺肥大症に用いられる他の薬とは異なる働きを持っており、3つの大きな作用で尿トラブルを改善します。
その3大作用をみてみましょう。

①血流を改善する

1つ目は、「血流改善作用」です。
尿をスムーズに押し出すためには、膀胱や尿道がしなやかに伸び縮みできることが必要です。ところが、前立腺が大きくなると、膀胱や尿道の血管に血流不足が生じます。栄養や酸素を十分にもらえなくなった膀胱や尿道は、徐々にしなやかさが失われていき、「カチコチ膀胱」となって尿トラブルが引き起こされます。

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血流不足の原因は、血管の筋肉が硬くなって、ゆるまないことです。これを改善する鍵となるのが、筋肉をゆるめる働きをするサイクリックGMPという物質です。サイクリックGMPは、一酸化窒素(NO)の助けを借りて血管の筋肉のなかで生み出されています。ところが、“ある酵素”によってサイクリックGMPは分解され、その働きを失ってしまいます。この酵素こそが、ホスホジエステラーゼ5(PDE5)です。PDE5阻害薬は名前の通り、このPDE5の働きを妨げることによって、筋肉がゆるむ作用を増強し、血管を広げて血流を改善するのです。

血流が保たれ、周囲の細胞に栄養や酸素がいきわたるようになると、ダメージを受けていた膀胱や尿道も回復し、蓄尿症状や排尿症状が改善されます。

また、歳を重ねるにつれて、一酸化窒素(NO)ができにくくなることがわかっており、高齢者ではサイクリックGMPが減少していると考えられています。このことからも、PDE5を阻害し、サイクリックGMPを増やすことは尿トラブル改善の大きなポイントだといえるでしょう。

筋肉をゆるめるPDE5阻害薬

PDE5阻害薬の筋肉に対する働き方解説図

PDE5阻害薬による血流改善

PDE5阻害薬による血流改善解説図

②筋肉をゆるめる

2つ目は、「膀胱の出口、尿道、前立腺などの筋肉をゆるめる作用」です。
膀胱や尿道などの筋肉でも、筋肉をゆるめる働きをする物質(サイクリックGMP)が減るとしなやかさが失われ、硬くなっていきます。PDE5を阻害することで、サイクリックGMPは元気に活躍します。その結果、膀胱や尿道、前立腺などの筋肉がゆるみ、排尿症状が改善されます。

③神経に作用して「がまんできないような尿意」を抑える

3つ目は、「膀胱の神経が過敏に働くのを抑え、蓄尿症状を改善する作用」です。
尿がたまって膀胱が一定の大きさになると、膀胱の神経は尿意を脳に伝えて排尿を行うように働きかけます。しかし、前立腺が大きくなって膀胱に悪影響を与えるようになると、膀胱は過敏に反応して、尿がそれほどたまっていなくても尿意を感じるようになります。尿をためてがまんすることができなくなるので、トイレに何回も駆け込むことになってしまうのです。

PDE5阻害薬は、過敏になった膀胱の神経の働きを抑えることで、蓄尿症状を改善すると考えられています。

膀胱の神経に作用するPDE5阻害薬

膀胱の神経に作用するPDE5阻害薬解説図